ゼロトラスト機能一覧とオンプレミスのみ実装例
ゼロトラスト(ZeroTrust)は、境界を信頼せずアクセスごとに検証を行う次世代のセキュリティモデルです。本記事では、オンプレミス環境でのゼロトラスト実装に必要な主要機能と導入ステップを詳しく解説します。
オンプレミスのメリットと課題
- メリット: 社内で完結する環境でのデータ管理。既存システムとの親和性が高く、法令対応もしやすい。
- 課題: VPNやファイアウォールなどのレガシー機器との整合性、導入コスト、段階的なPoCの必要性。
導入すべきゼロトラスト主要機能
機能 | 概要 | 導入ポイント |
---|---|---|
アイデンティティ管理 | ADによる認証一元化+MFAによる多層認証 | SSOと連携したMFA構成が鍵 |
マイクロセグメンテーション | 業務別・部署別で通信経路を厳格に分離 | 既存ACLやVLANの活用が現実的 |
VPN/ゲートウェイ | 従来型VPNからZTNAへ移行 | PoCを通じて移行障害を最小化 |
SIEM | ログ収集・異常検知・インシデント対応 | 転送量と運用体制のバランスが重要 |
導入ステップ
ステップ1:現状分析と可視化
既存のアクセス構造やユーザー管理状況を把握し、可視化・分類を行うことが最初の一歩です。
ステップ2:PoCの実施
テスト環境や小規模チームでMFAやゲートウェイ導入を試験的に実施し、効果と課題を明確化。
ステップ3:本番環境への拡張
PoC結果を元に、段階的に本番環境へ展開。リスクが高い資産から優先的に導入。
ステップ4:運用と監視体制の強化
SIEMなどを用いたログ分析体制の整備と継続的なポリシー最適化が必要です。
構成図イメージ
+--- 社内端末 ---+ +--- ゲートウェイ ---+ +--- AD/MFA ---+ | ユーザーPC | ---> | VPN/認証GW | ---> | 認証/権限制御 | +----------------+ +---------------------+ +--------------+ | | v v +------------------------ オンプレ業務NW --------------------------+ | 業務サーバ、DBなど → マイクロセグメント単位でアクセス制御 | +--------------------------------------------------------------+ | v +---------+ | SIEM | ← ログ収集・分析 → インシデント検知・通知 +---------+
まとめ
オンプレミス環境におけるゼロトラスト導入は、既存のIT資産を最大限に活かしつつ、堅牢なセキュリティ体制を構築する現実的な選択肢です。段階的な導入と柔軟なPoC運用が成功のカギを握ります。