FWとVPNの違いと機能比較表
企業のネットワークセキュリティを強化するためには、ファイアウォール(FW)と仮想プライベートネットワーク(VPN)の活用が不可欠です。本記事では、それぞれの役割や違いを詳しく解説し、最適な選択肢を考察します。
FW(ファイアウォール)とは?
ファイアウォール(Firewall)は、ネットワークの境界でトラフィックを監視し、不正なアクセスを防ぐセキュリティ機能です。
主な機能
- パケットフィルタリング:許可された通信のみを通過させる
- ステートフルインスペクション:セッションごとの通信を監視
- アプリケーション層の検査:特定のアプリケーションの挙動を制御
- 侵入防止システム(IPS)との連携:不正アクセスや攻撃の検出・ブロック
メリット
- 外部からの不正アクセスをブロックできる
- 企業ネットワーク全体のセキュリティポリシーを統一できる
- ゼロトラストセキュリティと組み合わせやすい
デメリット
- VPNのように遠隔アクセスの暗号化はできない
- 設定次第では正規の通信もブロックされる可能性がある
VPN(仮想プライベートネットワーク)とは?
VPN(Virtual Private Network)は、インターネット上で暗号化されたプライベートな通信を実現する技術です。
主な機能
- データ暗号化:通信を暗号化し、安全性を確保
- リモートアクセス:外部から安全に企業ネットワークに接続
- IPマスキング:接続元のIPアドレスを隠す
メリット
- 公共のネットワークでも安全な通信が可能
- 遠隔地から企業ネットワークへ安全にアクセスできる
- グローバル拠点間の通信を保護できる
デメリット
- FWのようにネットワーク境界でのセキュリティ管理はできない
- 高速な通信が求められる環境では遅延が発生する可能性がある
FWとVPNの比較表
項目 | FW | VPN |
---|---|---|
主な目的 | 外部からの不正アクセスを防ぐ | 安全な通信環境を確保 |
セキュリティ機能 | トラフィック制御、侵入防止 | データ暗号化、トンネリング |
通信の監視 | ネットワーク境界で監視 | トンネル内のデータは監視されない |
リモートアクセス | 提供しない | 提供する |
導入対象 | 企業ネットワーク全体 | リモートワーカー、拠点間接続 |
コスト | 比較的高い(ハードウェア型) | 低コストで導入可能(クラウド型) |
どちらを選ぶべきか?
FWが適しているケース
- 社内ネットワークを保護したい
- 通信を管理し、不正アクセスを防ぎたい
- セキュリティポリシーを一元管理したい
VPNが適しているケース
- リモートワークを安全に運用したい
- 拠点間通信のセキュリティを向上させたい
- 公共Wi-Fi環境でも安全に業務を行いたい
FWとVPNを併用するケース
多くの企業では、FWとVPNを組み合わせてセキュリティを強化しています。
- ゼロトラストネットワークの導入:FWで外部からの攻撃を防ぎつつ、VPNで安全なリモートアクセスを実現
- SASEとの統合:VPN機能をクラウド上で拡張し、セキュアなアクセス環境を提供
今後のトレンド
- ZTNAの普及:VPNに代わるゼロトラストアクセスが進展
- クラウド型FWaaS:クラウド環境向けファイアウォールの普及
- 5G最適化VPN:高速環境に対応したVPN技術の進化
まとめ
FWとVPNは異なる役割を持ち、併用することで強固なセキュリティ体制を実現できます。用途と環境に応じて、柔軟に導入しましょう。